(参考:ワークマン)
ECサイト運営者の皆さんが抱える疑問を解決するお手伝いをするのがこの記事です。合い言葉は「本は素敵な先生」です。今回ご紹介するのは、個人向けの作業着から、アウトドア用品に手技範囲を広げ、人気を集めているワークマン。そのワークマンの専務取締役である土屋哲雄サンが書いた『ワークマン式「しない経営」』。そんな土屋さんが教えてくれるECサイト運用の秘訣とは?
この記事でわかること
1.『ワークマン式「しない経営」』を選んだ理由
2. 土屋哲雄サンって、どんな人?
3.『ワークマン式「しない経営」』から学ぶECサイト運営のコツ
その1:値引きは商いの敵。お客様の裏切り。
その2:お客様がお金を払う理由を探れ!
その3:目標は少なければ少ない方がいい
その4:顧客管理はしない
その5:数字の管理はエクセルで
4.おわりに
1.『ワークマン式「しない経営」』を選んだ理由
(参考:ワークマン)
ワークマンと言えば群馬県を本拠地とするベイシアグループの現場作業や工場作業向けの作業服・関連用品の専門店です。同分野では日本1位の売上を誇ります。♩やる気わくわくワークマン~というサウンドロゴや、吉幾三さんをイメージキャラクターに採用したTVCMが有名な会社でした。が、最近はおしゃれなアウトドアブランドとして人気です。ワークマンプラスは、ワークマンの新規顧客開拓に成功しています。なぜ、そんなブランドを作ることができたのか?その秘密を知りたくて、この本をとったのでした。
2. 土屋哲雄サンって、どんな人?
土屋哲雄さんは1952年生まれ。東京大学経済学部卒業後、三井物産に入社します。その後、海外留学を経て、三井物産デジタル社長に就任。企業内ベンチャーとして電子機器製品を開発し大ヒット。本社経営企画室次長、エレクトロニクス製品開発部長、上海広電三井物貿有限公司総経理、三井情報取締役など30年以上の商社勤務を経て2012年、ワークマンに入社します。作業服専門店であったワークマンに「エクセル経営」を持ち込んで社内改革に着手。一般客向けに企画したアウトドアウェア新業態店「ワークマンプラス」を誕生させ、これが大ヒットとなります。では、そんな土屋サンの考えを見ていきましょう。
3.『ワークマン式「しない経営」』から学ぶECサイト運営のコツ
その1:値引きは商いの敵。お客様の裏切り。
値段をフックにして売上を上げる。これはベーシックな手法であり、ECサイトはもちろん、リアル店舗でも利用されています。そんなベーシックな手法ですが、土屋さんは悪手だとおっしゃいます。
値引きはお客さまへの裏切り行為と考えている。前に値札を見ないで定価で買ったお客様に対して失礼だ。
値引きしなくても売れる製品を作ることが基本だ。値引きは手間がかかり、一部の個客だけが得をして不公平だ。
他にはどこにも売っていないオリジナルアイテムを数多く販売するワークマン。そんなワークマンだからこそ取れる戦略なのかもしれません。でもですね、値引き無しで商品を買ってくれるお客さんがいるから、売上が成り立っているお店も多いはず。そういう状況ですと、値引き無しで買ったお客様と、値引きありで買ったお客様の間に差が発生するのは、屋砂利宜しくないことなのでは?と思ってしまうわけです。
その2:お客様がお金を払う理由を探れ!
電動ファン付きベストに、アウトドアでもつかえる3Dエクストラレインスーツ。作業服以外、様々な人気商品を開発しては、ヒットを飛ばし続けているワークマン。このような商品が開発できるのは、しっかりとお客様のニーズをつかんでいるからなのです。ベーシックなやり方ですが、どうやらこれをやり抜くことが重要なのだそうです。
自社が誰に、どのような価値を提供してきたか。誰が、どのような価値に対してお金を払ってくれたのか。それを確認することが重要だ。
ニーズ、調べるだけじゃダメなのですね。調べたニーズを形にして、しっかりとテストすることが重要なのですね。そうすることで、把握したニーズを解決するソリューションに、ちゃんとお金を払ってもらえるかどうかがわかるようになるわけです。
その3:目標は少なければ少ない方がいい
しない経営を経営方針とするワークマン。ノルマや、納期が存在しない状況で、会社は回るのでしょうか?と、私は思ってしまうのです。が、それはどうやら、私の勘違いだったようです。
短期目標をいくつも掲げる会社ほどダメになる。
社員に過度なプレッシャーをかけても、いいことは1つもないし、社員も絶対に伸びない。
ノルマや納期がない方が、自分の頭で考え、順序立てて仕事ができる。
それがいい結果につながる。
短期目標をいくつも掲げて、その目標を1つずつ管理をしていく。そんなやり方で社員のスキルが伸びるわけないと、土屋さんはおっしゃいます。しっかりと社員の頭で考えさせ、実行させることが、何よりも重要であるということですね。
その4:顧客管理はしない
しない経営の中で有名な施策(していないのに施策っておかしいですね)が、顧客管理をしないと言うことです。データが21世紀の石油だと言われているのに、何を言っているのだ・・・と私は思ってしまうわけです。もちろん、これにも理由があるのですよ。
ワークマンはOne to Oneマーケティング(顧客管理)はしない。
マスマーケティングが基本だ。要するに「名前のないお客様に売れたら十分」と考えている。
お客様を名前で管理しようとすると費用がかかる。
商品を売るために、売れる商品を開発するために顧客管理が必要だと思うのですけれど・・・なんて私は思ってしまうわけです。顧客管理をしないからと行って、何も調査を為ないと言うことではないらしいのですよね。
顧客一人ひとりを管理しなくても、店舗面積やレイアウト、製品の品揃え、売価の標準化を進めているので、ワークマンとワークマンプラス855店舗のうち約30店舗で各100人程度のお客様を対象に5項目だけの簡単なアンケート調査をすると、的確なデータが取れる。5項目とは①性別、②年齢、③職業(プロ客、一般客)、④年間来店回数、⑤用途(自分用、家族用)。
なんとシンプルなのでしょう。最低限の情報を調べて、商品開発に生かしているのですね。
その5:数字の管理はエクセルで
顧客の管理をしなくとも、細かく顧客調査はしなくとも、経営には数字がつきまといます。この数字を管理し可視化するために、世の中には数多くのツールがあります。が、ワークマンではそれらのツールは使わず、Excelのみを使っているそうです。
単にエクセルのデータを突き合わせるだけでなく、エクセル卯を使って自由に議論することで、社内の知恵を集められる。普通の人の知恵を集めてできる「エクセル経営」こそワークマンの目指すものだ。非凡な人はいらない。頑張らなくてもいい。
勘と経験による意思決定を、データに基づく意思決定に変え、誰でも参加できる経営にする。
属人的な経営は危ない。
私を含めて昭和、平成時代に成功体験を持つ経営者が、いままでの勘と経験を頼りに舵取りしようとすると、ネットワーク型社会の変化に対応できない。勘と経験による意思決定は会社の大きなリスクポイントだと認識する必要がある。
エクセルであれば、多くの人(社員)が使えますからね。誰にでも使えるツールを社員全員に与えることで、皆が経営に参加できるようになると言うことですね。
4.おわりに
個人向け作業着のお店から、おしゃれでリーズナブルなアウトドアブランドショップに進化したワークマン。しない経営に貫かれているポリシーって、手段の目的化を辞めて、しっかりとゴールを達成するってことなのでしょうね。だから顧客管理をしない。お客様を個人単位で管理してどうするのか?それが定まっていないと、顧客管理が目的になってしまいますからね。
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